いもうとがかり

月見草平の新作。主人公は理論的でないものが大嫌いな男子高校生。ある日、好きな同級生・愛に告白するが、実は人違いで、告白したのは見た目がそっくりな妹・恋だった。この妹、自分を木星人だと言い張る不思議な子。妹と付き合う事となった主人公を、姉は妹係と呼び...と言うお話。

面白かったです。タイトルの意味が意味不明だったのですが、「いもうとがかり = 妹係」と言う事で、木星人を名乗る恋を守る係の事。普段の言動から避けられて、これまで姉の愛しか味方がいなかった恋ですが、そこへ主人公が勘違いとは言え入ってくる展開。
好きな人の妹に間違って告白してしまい、しかし迂闊に間違いだったとは言い出せない状況になってしまった主人公は、渋々ながら恋と付き合います。物言いが電波な恋は主人公からすれば話が合う人間ではないのですが、時間を重ねる内に徐々に仲良くなって。良い感じの雰囲気になるものの、そうなったらそうなったで、姉の愛への気持ちが邪魔をする。複雑な気持ちに揺れる主人公の心境が切なく、とても良かったです。
恋の方も、主人公にどんどん心を許していき、辛い事があっても上手くフォローする主人公を嫌いになる訳が無く。でも主人公の本当の気持ちは別の人にある。こっちも切ない! 居心地の良い空気が生まれれば生まれるほど、勘違いから始まったと言う事実が重くなっていく。でもそれを正してしまうと今の関係が壊れてしまうかも知れない。難儀な状況だけれども、最終的には乗り越えるキャラクタ達の心模様が、凄く好みな作品でした。

主人公がガッツリと理論的な性格に走った理由や、恋が木星人を名乗るようになった詳しい理由はまだ伏せられたまま。色々とありそうで、これからの展開が楽しみです。恋愛方面も動きがありそうだし。続きに期待。