白奈さん、おいしくいただいちゃいます

『はい、こちら探偵部です』の作者の新作。食にこだわりのある街と、そこにある高校が舞台。主人公は料理の腕に自信のある男子高校生。料理は天才だけど言動が常人離れしているヒロイン・白奈が部長を務める、料理事件部と言う、事件を料理で解決する部に強引に入部させられていた...と言うお話。いくつかの事件を、料理を通して解決していく展開です。

とても面白かったです。登場人物がとにかく濃い。白奈の常人からは微妙にずれたキャラクターで、美味しい物を食べれば事件は解決する! と言う凄い信念の持ち主。主人公も我が道を行くタイプで、周囲の評判など物ともせずに料理と事件解決に挑む姿には妙な格好良さがありました。
主に起こった事件は、吸血鬼と言うあだ名がついてクラスで浮いている少女・血倉さんを助ける話と、学園でも有名な美貌を誇る先輩の父親が記憶喪失になってしまい、それを助ける話の2つ。どちらも微妙な強引な話に感じられましたが、それでも主人公がグイグイと話を引っ張っていく展開が心地良く、また時折、「なんだと!?」と驚かされるような展開と笑いもあって良かったです。主人公が積極的に行動する話は良いですね。読んでいて楽しい。
個人的には最初の事件の中心人物である、血倉さんが好きです。事件が解決して打ち解けてからの可愛らしさと来たらもう。積極的だし。主人公の幼馴染キャラもいるのですが、こっちはどう見てもヤンデレ予備軍にしか見えない...。主人公の気持ちは幼馴染にしか向いていないのに、勘違いして突っ走るからなぁ。言葉が微妙に足りない主人公のせいでもあるけれど。しかし白奈はキャラに反して出番が少なかったな...。

前作が微妙に肌に合わなかったので不安だったのですが、これだけ楽しめるとはうれしい誤算。是非とも続きが読みたいです。