大奥のサクラ

日日日の新シリーズ。
豊臣家による支配により、戦乱がなくなった日本が舞台。その豊臣家の大奥には多くの娘が集められており、知識教養を深める一種の学園になっていた。そしてさらに、互いに殺し合い、自分の序列を高めて、将軍のお目にかかる...と言うシステムが敷かれていた。主人公は豊臣家の息子。しかし父親からは期待されていない立ち位置で、汚職や不正など、人の腹を探っては暴く役職に就いていると言う設定。ある日大奥の調査に向かい、そこで行われている凄惨な戦いを目にする。さらに、死に別れたと思っていた思い人・サクラにも再会して...と言うお話です。

表紙の可愛らしいイラストからは想像できないような、微妙にグロくて容赦無く人が死んでいく展開が、大変この作者らしいと思いました。でも、本格的にグロくなり過ぎないのが良かったです。設定が設定なだけに、主人公とサクラがいつ酷い目にあうのか...とハラハラしながら読んでいましたが...。確かに肉体的には傷つきボロボロになるけれど、精神的な方面ではそれほどでも無かった。これで心まで折られるような話だったら、自分には合わなさ過ぎる。

しかし主人公とヒロインの純愛は良いですね。ヒロインは過去、主人公の父親によって故郷ごと酷い目にあい、でも主人公の事が好きで。主人公は主人公でヒロインの事が忘れられず、生きていると分かってからは活発に行動して。命の危険はもとより、死ぬよりも酷い目にあうかもしれない大奥と言うメチャクチャな場所が舞台なだけに、この愛が素直に成就するとは思えないのが怖い所ですが...だからこそ、この恋は幸せに繋がって欲しい。そう思いました。