花狩のロゼ 歌姫は薔薇を殺す

  • Title : 花狩のロゼ 歌姫は薔薇を殺す
  • Author : 夕鷺かのう / Illust : オサム
  • ISBN:9784047274419 / B's-LOG文庫

TLで話題になっていたので読んでみました。花が人を襲う世界が舞台。花と戦うのは「花狩」と呼ばれる人たち。女性のみなれる、花を縛る歌を歌うが歌姫と、男性のみがなれる、花を殺す舞手。主人公は男だけれど歌姫の才能を持っていたが、恋人を花嵐に襲われて失ってしまう。そんな恋人のため、歌姫になるべく花狩を育てる学院に女装して入学したのだが...と言うお話。

とても面白かったです。花が人を襲う、と言う設定だけ見れば少々グロテスクなのですが、そんな花と相対するのは歌姫と舞手。歌姫の歌を背後に舞手が舞って花を狩る。その情景を想像するとどこか雅で、ロマンに溢れる雰囲気が素晴らしかったです。
主人公は男だけれど歌姫の才能がある。そんな主人公が楽院で出会った舞手候補・ノワールは、女だけれど舞手の才能がある。お互い、性別を偽っている事を知らずに話が進む展開が良かったです。このノワール、どう考えても主人公が花に殺されたと思っている恋人だよね...。花に襲われたショックで過去の記憶を失っていると言う設定なので、主人公の事に気付いていないけど。まぁ女装している上に若返る薬を使って子供の頃の身体になっているので気付かないのも当然だけど。ノワールの外見も大きく変わってしまっているので、主人公も気付かないし。
そんな主役2人、すれ違っているようですれ違っていない関係が大好きです。お互い全部話してしまえば、あっと言う間にハッピーエンドなのに、気付かないままに仲を深めていく展開は身悶えします。一体何時気付くのか? 気付いた時、どんな展開になるのか? 今から想像してワクワクする。是非とも続きを!!