3分間のボーイ・ミーツ・ガール

複数の作家によるアンソロジー。タイトル通り、「3分間」と「ボーイ・ミーツ・ガール」の2つをキーワードとした短編が沢山収録されています。

基本的には甘酸っぱい雰囲気の話が多かったのですが、中には怪奇的なものもあったり、各作家の個性が出ていると感じた内容でした。そうそうたるメンバーが揃っており、楽しく読めました。
一番好きだったのは、庄司卓の『5400万キロメートル彼方のツグミ』。小惑星探査機に積まれた人工知能AI・ツグミと、彼女の設計者である主人公。地球から遥か彼方にいるツグミと通信には、片道3分の時間がかかる...と言う設定。自我に目覚めていくツグミと主人公の交流、回収出来ないツグミとの未来に待つのは別れ。ベタベタな展開だとは思うのですが、それでも、どこか切なさの漂うツグミと主人公の会話が素晴らしかったです。結末がズルい! グッと来てしまった...。

元々はwebに掲載されたものをまとめたものですが、こうした試みは面白いので、また別のテーマでもやって欲しいと思いました。