お前のご奉仕はその程度か?

森田季節GA文庫から出した新シリーズ。とある街が吸血鬼に占拠され、日本から独立した。その事実を知らなかった高校生の主人公は、趣味のハイキングの途中、その街に迷い込んでしまう。そこで出会った少女・詩憐に噛まれ、ミニオンになるはずが、何故かミニオン化せず...と言う感じに話が始まります。
主人公は「女性にモテまくる」と言う体質。クラスメイトから親兄弟問わず、常に狙われていると言う状況。しかし詩憐にはその体質が効かず、ミニオンにならずとも吸血鬼の帝国で暮らした方が穏便な生活が送れる! と、詩憐のミニオン候補として暮らす、と言う展開。

面白かったです。森田季節と言えば、一風変わった作品を書く人、と言う印象が強いのですが、これは普通にラブコメ。話も読みやすいしヒロインも可愛いし、楽しく読めました。何人かの吸血鬼の少女に噛まれ、サブヒロイン達の軽いミニオンになったり、吸血鬼の皇帝が予想通りの人物だったり、ラブコメ展開の加速にも期待出来る所も良かったです。
この詩憐が少々事情を抱えていて、吸血鬼達の中でも腫れ物に触るように扱われている状態。常に一人ぼっちだった所に、共に暮らす事になった主人公への気持ちが痛い程伝わってくるのが良かったです。ミニオンは従僕なので、主人公にアレコレ言いつけるのですが、キチンとミニオン化していないので素直には従わない主人公。そのやりとりの中で喧嘩しても、最後には一人ぼっちにはなりたくない...と折れてくる姿がとにかく切ない。また、主人公には未だに思い焦がれている初恋の娘がいて、その娘に会うために日本へ戻ろうとするのですが、この詩憐を放っておけない...と、彼女に友達を作ろうと奮闘する展開も良かったです。

日本から主人公を慕って吸血鬼の帝国へ乗り込んでくるキャラもいたりして、今後、とても盛り上がりそうな終わり方。続きが楽しみです。