子ひつじは迷わない 泳ぐひつじが3びき

生徒会へと届く生徒たちの悩みを聞いては解決する「迷わない子ひつじの会」にて、生徒会所属の主人公とヒロインが、隣室で話を聞かされては強引に付き合わされる文芸部員・仙波の力を借りながら相談事を解決していく話の3冊目。

とても面白かったです。巻を追う毎に面白さが増しているように思いました。連作短編風味に、いくつかの事件・悩みを解決していく展開は変わらないのですが、今回は事件そのものの他に各キャラについての話があったのが印象的。主人公の成田を始めとして、佐々原さんに仙波さんと言った主要キャラ達の内面がこれまで以上に書かれていて良かったです。
特に主人公と仙波さん。主人公のおせっかいな性格が昔どんな事を起こして今に繋がっているのか? とか、仙波さんがどこまで主人公の事を嫌っているのか? とか、今まで以上に深く知る事が出来たと思います。場面ごと、それぞれのキャラの一人称で進むので、全てが本音を語っているかは分かりませんが、理解が深まったのは確かです。
そして仙波さんの可愛いらしさが凄い事に。なんだろうこの生き物は? 好みで言えば佐々原さんの方なんですが、仙波さんの猛追が半端ない。元々良いキャラではありましたが、ツンデレと言う程にはデレず、かといって取り付く島も無いほど主人公を嫌っているかと言えばそうでもなく、嫌々ながらも手を貸したり背中を押したり。おせっかいだと主人公を怒るけど、仙波さんも十分面倒見が良い人だよね。そのギャップが最高です。

こんな感じの1冊でした。主人公の昔を知るキャラの登場で、ラブコメ方面に多少のイザコザが起こりそうな雰囲気を醸し出しつつ、気になる引きで終わっているので、続きがとても楽しみです。