ワールドエンド・ヴァルキリー

『ガジェット』の作者の新作。剣と魔法のファンタジーな世界観を舞台に、とある理由で領地を失った貴族の少年が主人公。ある日、街の外で見慣れない格好をした1人の少女・ヤエカを拾う。この少女、「捕食者」と呼ばれる謎の存在に世界を滅ぼされた異世界からやって来た存在で...と言うお話。

ファンタジーな世界観の中に、SFチックな世界からやって来たヒロイン。SFとファンタジー、2つの要素が混ざりあった様なお話でした。まだまだ序盤で、この巻は設定の説明に終始した感がありますが、その分壮大な話になりそうな雰囲気が漂っていて良い感じに楽しめました。
ヒロイン・ヤエカがいた世界は現代よりもずっと未来の科学技術が発展した世界。そこに突如として現れ人々を襲っていった「捕食者」。ヤエカは技術の粋を集めて作られた装備を持って捕食者と戦った1人だったが、結局敗北。唯一人、主人公のいる世界に次元を超えて逃がされた、と言う設定。何で異世界から来た人と主人公達の間で言葉が通じるの? とか、ヤエカが戦うには「パーム」と呼ばれる携帯端末が必要なのですが、そのエネルギーはどこから補充されるの? とか、細かい所までキッチリと説明が書かれているのが良かったです。凄く丁寧に作られているなぁと思いました。
また、主人公は自身の過去が色々とあって、困っている人は見捨てられない性格。ヤエカの持つパームで捕食者の存在を知り、でも荒唐無稽だと切り捨てずに共に戦おうとする姿勢が格好良いです。ヤエカからすれば、戦いに巻き込みたくないと言う気持ちがある一方、誰一人味方のいない世界で、こうして傍に立ってくれる人がいるのは心強いだろうなぁ。
お気に入りなのは、主人公達の国の姫様。主人公にベタ惚れだけど、あんまり素直じゃ無いのでそれが表に出せない所が大変好みです。気持ちを隠しきれていない...と言うか別に隠すつもりも無さそうな雰囲気なのに、妙に恥ずかしがって素直になりきれない、微妙な心のありようにニヤニヤしました。

こんな感じの1冊でした。面白くなりそうなので、続きも読もうと思います。