おとーさんといっしょ!

第3回GA文庫大賞・奨励賞受賞作。
珪素生物が地球に浸透して人類の方が少数になった地球が舞台。人間である主人公は運び屋。ある日依頼を受けて赴くと、依頼人は死んでおり、そこにあった荷物は珪素生物である1人の少女。刷り込みのように主人公を父親と呼んで慕うが...と言う感じに話が進みます。

珪素生物」と言う響きに魅力を感じて読んでみたのですが、想像していたものとはちょっと違う形。テッキリ、全身珪素で出来ているのかと思ったのですが...身体は普通の人間と大差無し。ただ、脳の中に特殊な器官があり、種族全体でネットワークを形成している...と言うものでした。もっとSF的なものを想像していたので、ちょっと残念。
話としては、主人公が拾った少女・ルーが実は珪素生物世界では重要な人物で、大きな厄介事に巻き込まれていく、と言う展開。ヒロインと主人公の関係は家族ものとしての側面もあるのですが、主人公がその関係を積極的に受け入れようとはしていないので、読んでいてモヤモヤしたものが残ってしまってどうにも。ヒロインは可愛いんだけれど、主人公が...。何をウジウジ悩んでるんだよと言いたくなってしまいました。終盤には多少吹っ切れるけれど、前半の印象を覆すには至らず。残念。