生贄の羊と1/2アンデッド

2ヶ月連続刊行の2ヶ月目。一度死んで生き返った高校生の主人公が、幽霊を見る事が出来るようになり、死神の少女・那由子の大事な鏡を見つけるために、彷徨う幽霊を彼岸へと渡す...と言うお話。今回はとある学園が舞台。夜な夜な学園の中に漢字一文字が書かれ、その漢字を名前に持つ人物が次々と怪我をする、と言う怪異の解決に向かう展開です。

事件の真相がやるせない...。漢字をペンキで学園の中に書くと言うやり口から、生きた人間が何かしら関わっているのは分かるのですが、ただのいたずら等では無く、その裏には重い重い話があって、哀しい気分になりました。過去に自殺した女子生徒と、彼女の友人たち。死者は何も語らず、行き場のない怒りだけが募って噴き出して、後に残るのは哀しさと苦さ。誰が悪いかと言えば1人しかいないけど、そこから巡り巡ってこれほどの事態になってしまうとはなぁ。愛情でも友情でも、強い気持ちが形を変えた時の怖さが凄かったです。

主人公と那由子の話も少し進展。那由子の人間味が徐々に強くなってきた事に加えて、その正体が微妙に周りの友人にバレても協力を得られそうなのでホッとしたのですが、何だこのラストは。漂う不穏な気配が不気味です。次の巻、どうなる事やら。