断章のグリム 14

今回の童話は『ラプンツェル』。葬儀屋を消してしまった蒼衣。自分の悪夢に悩まされつつ、さらに各地のロッジから恨まれて精神的に追いやられる中、長い髪をした女性が、髪を引っ張られ高所から転落死する事件への捜査依頼が来て...と言う展開。

怖かったです。怖いのはいつもの事なんですが、上巻から待ったなし。少し前からそうですが、蒼衣が追い詰められている事がとにかく不安。これまで冷静に事件を見つめて解決まで導いていたキャラが、精神的に追い詰められている状態で冷静さを失っている事が、とにかく不安を掻き立ててくれます。雪乃さんが落ち着いて蒼衣を引っ張っている事が唯一の救い。頼もしい。

ラプンツェル』が元になった怪異と言う事で、髪がポイント。そして髪を引っ張るには「手」が必要で...と言う事で、甲田学人と言えば「白い手」! と言うぐらい自分の中ではお馴染みの「手」が大活躍。チラッと出てきてはグイッと引っ張り、悲惨な状況を演出してくれます。何度読んでも、この「手」には慣れない。どうどうと出てくればまだしも、チラチラと視界の端に映るように忍び寄る様がヤバい。

さらにラストでは、葬儀屋が居なくなった事が予想外の方向に発展していてビックリ。これは単純に『ラプンツェル』の怪異を追うだけでは済まなそうだ。頼みの綱は雪乃さんだけど、髪は長いから危険だよな...。あー下巻が怖い。