今どき、女中で奉公って!?

第15回電撃小説大賞で最終選考に残った作家さんのデビュー作。高校入学を目前にしていた女の子が主人公。親の借金のカタに、とある屋敷で女中として働く事になってしまった。巨大な屋敷で多くの女中と共に働き、屋敷の主の息子である、それぞれ癖のある3兄弟や、意地悪な双子の相手をしながら日々暮らしていたのだが...と言う感じに話が始まります。
主人公・早苗が女中しながら、予期せず家の秘密に迫っていく展開。時代設定は現代と言う事らしいですが、舞台が屋敷から動かないので殆ど意識せず読めました。借金のカタとして強引に働かされている早苗ですが、一応従順に仕事をしつつ、あまりにも理不尽な事に対しては、例え雇い主だろうが構わず怒る心意気は良かったです。泣き寝入りするような展開だとストレスが溜まる一方になりそうと思っていたので、ハッキリと物を言う主人公が格好良い。
お話的には、いつの間にかお家騒動の裏事情に主人公が踏み込みつつ、最後には微妙に家族もののような展開に。別につまらない訳では無いのですが、読み終わって、結局このお話は何だったんだろうか...? と思いました。主人公の体験をそのまま物語にしたような。予期せず一族の秘密を知って、兄弟たちと仲良くなった主人公、これで少しは待遇が良くなるのかな。