恋する鬼門のプロトコル 3

Book

殺生石の呪いでその身に狐を宿すヒロイン･たまもと、たまもと付き合ってはいるものの、霊感が強くて直接触ると殺生石の呪いで物凄い恐怖を味わってしまう主人公のお話の3冊目。今回はマルタが超常現象研究会に入部。幽霊狩りに行こう! と意気込む彼女に牽引されて墓地へと赴いたは良いが、そこで主人公は徳川綱吉の霊に憑かれてしまい...と言う感じに話が始まります。
マルタの入部で微妙に活気づいた主人公達。綱吉の霊に憑かれたり、再びマキマキの命を狙う一派から身を守るため、「浅草」と言う稀人を守る組織へと話を繋いだり。色々と盛り沢山で、ちょっと詰め込み過ぎな感じもしましたが、面白かったです。
綱吉と言う将軍の事は、「生類憐れみの令を出した」ぐらいしか知らず、それもあまり良いイメージでは無かったのですが、こう言う解釈の仕方もあるのか...と思い直しました。当時の人々からは恨まれ、後世の人々からは軽んじられる、一見宜しくない政策だったとしても、そこには意味があり、全て承知の上で飲み込んだ綱吉...と言う風に見ると、凄い人だったんだな、と思い直します。勿論、真実はどうだったのかは分かりませんが。こうして違った見方が出来る歴史って面白い。
主人公サイドの話としては、クレタの腐女子的暴走に拍車がかかり、マルタはマルタで素直じゃない部分がこれでもか! と表に出ていて良かったです。天王寺とのやりとりは、ニヤニヤが止まらない。この恋は報われなさそうだけど。また、意外とたまもに出番があったけど、やっぱり蚊帳の外。霊能サイドの話を一切打ち明けていない以上、話に絡めない。彼女に憑いている狐･チーも、今回は出番が少なめ。好きなキャラなので残念でした。要所要所では出てくるけど。逆に天王寺は出番多め。彼を目の敵にする敵がいたせいもありますが。どこまでも自分本位に行動するキャラだけど、時折優しさらしきものが覗くような気がする。
話の中心は「浅草」なる組織とその頭領･弾左衛門。腕っ節は強くないのに、一度守ると決めたら貫き通す心意気が良かったです。終盤の戦いは劣勢で、読んでいて少し辛い展開もあったのですが、弾左衛門の能力にはビックリ。そりゃ最強だよ...。
こんな感じの1冊でした。暫くは今回襲ってきた敵との話になるのかな。続きも楽しみです。