犬とハサミは使いよう

第12回えんため大賞・優秀賞受賞作。
何よりも読書が好きな高校生が主人公。ある日、買った本を喫茶店で読んでいた所、その喫茶店に強盗が。猟銃に撃たれそうになっている女性を庇い、死んでしまう。しかし読書への未練から死に切れず、気が付いたら犬になっていた。ペットショップのオーナーに拾われ、店頭に並べられていた所、ハサミを持った1人の女性が自分の事を引き取る事になって...と言う感じに話が始まります。

犬になった主人公と、何故か犬となった主人公の心が読めてしまう女性・夏野霧姫の2人が延々とテンションの高い掛け合いを繰り返すお話でした。ほぼ会話で構成されていて、話はそれほど無い感じ。一応、主人公を殺した犯人が未だ逃亡中で、時折それを探すような展開なのですが、メインは主人公達のトークに感じられました。軽快に繰り広げられるトークは、流石に量が多くて飽きる事もあったけど、時折笑えて面白かったです。主人公の本に対する情熱は少し分かる部分もあったけど、流石にここまで読書好きじゃないや...。
このままトークだけで話が終わるのかと思ったら、終盤は急展開。主人公を殺した犯人との超人バトルが始まってビックリ。しかも本が重要な位置を占めると言う、謎の戦いでした。面白かった。そう言えば昔、オーフェン読んで寸打の妄想とか良くしたなぁ...とか、懐かしい事を思い出しました。
しかし死んでしまった主人公ですが、家族の話が全く出てこなかったり、主人公自身、読書にしか目がなくて、家族や友人に気にかける事が全くなかったのがちょっと気がかり。周りはどうしているんだろう? 続きそうな内容なので、今後書かれるのかもしれないけど。
そう言えばこの話、2人でコンビを組んで書いているそうです。そう言う本を読むのは初めてかも。