はるかかなたの年代記 2

「換象」と呼ばれる超能力を教える学園を舞台に、自分の身体の中にもう1人別の人格が共存している主人公と、チームを組んだクラスメイトたちのお話の2冊目。
前巻でヒロイン・カティアの秘密が明らかになりましたが、今回も彼女の秘密を狙って迫る敵と戦う展開。カティアを捕まえようと動いた相手は、昨年の生徒会副会長で...と言う展開。
幾つもの国から選りすぐりの生徒が集う学園だけあって、その裏には複雑な事情が絡み、表面上は争いが無いように見えても、決してそんな事は無く。しかし生徒たち自身の意志ではなく、国の意志でこうした事態が起こるのは、何とも悲しい気分になります。敵役の前生徒会副会長・マルギットは良い先輩として主人公達に接していたのに、ある日突然敵にまわる...と言うのは辛い。
しかし敵が如何に強大だったとは言え、主人公と彼の中にいる人格・チョールト、どちらも強過ぎて、あまりハラハラする展開にはならず。さらに同じチームの少年・クリスも、反則的な強さを発揮して圧勝。もう戦いは安心して見てれば良いか...と言う気にさせてくれました。ちょっと残念。
そんな中、見所は主人公のモテっぷり。生徒会長のアレットが主人公に猛烈なアプローチを繰り返す展開にニヤニヤ。本人は好きと言う気持ちよりも、先輩として、そして前巻で助けられたお礼として...と言う気持ちが先行しているのかもしれませんが、自分の気持ちに無自覚な訳では無いし。ベッタリと主人公に寄り添う姿は、もう正ヒロインで良いんじゃないか? と思えるぐらい。それを見たカティアが心穏やかではないのも素晴らしいです。生まれが生まれなだけに、こうした事態には酷く疎い。その初心な感情を持て余しているような振る舞いが良い感じ。さらにカティアの護衛であり、教師でもあるグロリアまで、主人公とは何かありそうな雰囲気で、いつの間にやら主人公の周りがハーレム状態。こんな話だったっけ...。
こんな感じの1冊でした。カティアを狙う勢力は他にもいそうで、まだまだ安心出来ない状況が続きそう。今後も楽しみです。