ベン・トー 7

アニメ化が決まった『ベン・トー』の7冊目。槍水先輩が修学旅行で不在の中、HP同好会に1人の女性・烏頭みことが現れる。彼女は元HP部のOGで、佐藤や白粉と一緒にスーパーを巡るのだが、HP部解散の原因は槍水にあると言い、徐々に佐藤達は彼女に翻弄されていき...と言う展開。
凄く面白かったです。この熱さ、最高!! 人当たりが良く、良い先輩...と言う雰囲気だった烏頭ですが、その本性は決して穏やかではなく、HP同好会へと顔を出したのは、過去に確執のある槍水と魔導士・金城へ復讐するため。「烏頭」の名が示す通り、彼女の存在は毒となり、佐藤や白粉を徐々に蝕んでいきます。自分の復讐のため、全く関係無い佐藤や白粉を利用する。それも槍水不在の間に...と言う手口が許せなくて、読んでいて鬱憤が溜まっていく展開だったのですが、それを全て吹き飛ばすかのような終盤が最高でした。
過去に何があったのか、その全てを聞き、己の無力さに嘆く佐藤。そんな佐藤を烏頭から護るために不在の槍水の代わりに魔導士が動く。話の蚊帳の外に置かれた佐藤が挫けそうになった時、それを助けたのはオルトロスの2人。オルトロス姉、ホント最高だよ!! 例え相手が誰であろうと、その裏にどんな事情があろうと、半額弁当の前には意味を成さない。そんな狼としての誇りを取り戻し、真正面から戦いに挑む展開が素晴らしかったです。
さらに茶髪や坊主、髭面等のサブキャラたちも、自分たちの縄張りで勝手に盛り上がる烏頭達に良い顔をせず。佐藤とは互いに敵だけど敵じゃなくて、時折共闘するかのように戦う展開に、胸が熱くなりました。たとえ二つ名が無かろうが、その誇り高さは変わらない。これぞ狼。どいつもこいつも格好良かった...!!
ラストでは烏頭に少し好感の持てる一面も見えて、最後まで大満足の1冊でした。自分の中で5巻が最高傑作だったのですが、それに迫る勢いで面白かったです。徐々にHP部の過去も出てきて、話としても進んでいる感じがしたし、続きがとても楽しみ。