子ひつじは迷わない 回るひつじが2ひき

生徒会が運営し、生徒たちの悩みを解決する「迷わない子ひつじの会」。生徒会所属の主人公が、隣の部屋の準備室でいつも本を読んでいる文芸部の仙波明希の力を借りて悩みを解決していくお話の2冊目です。

とても面白かったです。幾つかの話が収録された連作短編風味に続く展開は前巻と同じ。舞い込んでくるミステリ仕立てな事件の真相を仙波さんの力で把握し、でもそれをストレートに相談者には告げない主人公。主人公なりに事件を解釈し、ただ真相を暴くのでは無く、そこから先、どうすればより良い結末を迎えるのか? と言う部分を考えて行動するのが面白い所です。

また、仙波さんが大変可愛らしくて良い感じ。主人公の事は嫌いで助ける気など無いと言うのに、頼られたらどうしても事件の真相を明かさないと気が済まなくなる性格は今回も健在。やる気は無いのに人の事を本気で放っておけないと言う、どこかアンバランスな所が素晴らしく良かった。ダラダラと本を読み、主人公を前にしたらツンツン。「ツンダラ」とは良く言ったものです。家族の登場で何気にシッカリとしたお姉さんだった...と言う事まで発覚し、好感度がさらにアップ。

主人公を巡る恋愛も少し話があって、これも目が離せません。主に佐々原さんなのですが...自分の感情の価値が分からず、人に合わせる生き方をしてきた彼女が、主人公に想いを寄せる。普段は冷静沈着な彼女が、主人公と仲良くする女の子を見ると感情が動く...と言うのは見ていて激しく応援したくなります。主人公は鈍感っぽいので、苦労しそうだけど。

こんな感じでとても楽しめた1冊でした。これは続きにも期待。