○×△べーす 1

第12回えんため大賞・特別賞受賞作。
主人公は高校生。入学式の日、河川敷でキャッチャーの格好をした男に野球部へと勧誘される。。猛烈な勢いで迫る勧誘から一度は逃れたものの、日を改めても続くアプローチから、一度野球部へと足を運ぶのだが...と言う感じに話が始まります。
真っ当なスポコン物。中学時代に一度挫折したエースが、高校で周囲の強引なまでの勧誘に流され再び野球を始め、挫折から立ち直っていく...と言う野球モノの王道を行く作品でした。
うじうじと背を向け、拗ねるように野球から目を逸らしている主人公や、そんな主人公に構い、強引に野球へと引っ張っていく先輩や幼馴染。ハッキリ言ってしまえばどっちも苦手です。主人公にはシャキッとしろ! と言いたくなるし、周囲の人間には、やる気の無い人間など放っておけと言いたい。これはこの作品に限った事では無く、同じような展開を取る作品全部に言える事ですが...。
でも、それでも面白く読めてしまうのがズルイ。野球が嫌いになって辞めた訳じゃない主人公が、徐々に立ち直ってかつての自分を取り戻していく。さらに強敵を目の前に奮起して、チームが一丸となって立ち向かっていく。暑苦しくて泥臭くて、ストーリーに意外性は無く、ひたすら王道を進む展開には目新しさは感じなかったけれど、でも込められた熱さから来る面白さが好きです。それを象徴するかのようなキャラが中村先輩。最初は鬱陶しいキャラだなとか思ってましたが、良い人だなぁ。この人がいなかったらこの話は成り立たないですね。良いお話でした。
普通に野球を続けていくのかと思いきや、ラストに意味深な伏線が張られて次巻に続く。楽しみです。