ヘルカム!

第22回ファンタジア大賞・読者受賞作。主人公は平凡な事が大嫌いな男子高校生。ある日、1人の少女に出会う。那由多と名乗るその少女は、死者を天国に取られて人が少なくなってしまった地獄を盛り上げるために派遣されてきたと言う。地獄のイメージアップに協力して欲しいと頼まれた主人公は、面白そうだと引き受けることにして...と言うお話。
それなりに楽しめたけど、まだ序章と言った印象が強かった1冊でした。良い人間が天国に行き悪人が地獄に行く...と言う天国と地獄について回るイメージは、全て天国側のアピールによるもの。実際には地獄が悪人ばかりな訳では無いと言う設定で、天国のイメージにつられ人の減ってしまった地獄のために頑張るヒロインを主人公がサポートする感じで話が進みます。天国と地獄はとても仲が悪く、地獄の活動に気付いた天国サイドが妨害を仕掛けてくる中、ヒロインの那由多が主人公の通う高校に転入し、学校で地獄のアピールをしていく展開。
「人と変わった事がしたい」と言う主人公の性格にはイマイチ馴染めなかったのですが、元気で健気に頑張るヒロインは良い感じに可愛かったです。人間界での生活に多大な興味を示し、とりわけカラオケで思いっきり歌うのが大好きと言う性格が大変微笑ましくて良い感じ。こう言うキャラは応援したくなる。アニソン好きと言う所にとても共感した事もあるけど。
話としては世界観の説明をしつつ、盛り上がる要素も盛り込まれていて良かったのですが、それでも世界観とキャラの説明に終始した感じが。タイトルの『ヘルカム』の意味はラストに明らかになるのですが、その本格的な活動は次巻以降ですね。どう地獄を盛り上げていくのか楽しみです。