身代わり伯爵の冒険

主人公はパン屋の看板娘・ミレーユ。双子の兄・フレッドは伯爵家に養子に行ったのだが、その兄が王太子妃となる予定の人物と駆け落ちしてしまった。伯爵家としては事が公になる前にフレッドを連れ戻したいのだが、それまでの間、ミレーユがベルンハルト伯爵の身代わりとして振舞う事になって...と言うお話。第4回ビーンズ小説大賞・読者賞受賞作です。
面白かったです。元気一杯で男勝りだけど純なミレーユが、兄の身代わりを強引に務めさせられるのですが、とにかく前向きな性格で、負けず嫌い。全く慣れない王宮で嫌な事があっても、次の日には負けるもんか! と立ち向かっていく様が素晴らしかったです。
兄の副官である青年・リヒャルトがミレーユの護衛としてつくのですが、他に頼る人がいないミレーユはただでさえ美形なリヒャルトに徐々に惹かれていって、リヒャルトはリヒャルトでミレーユが気になりだす。伯爵の身代わりには実は裏があって、2人...と言うかミレーユは微妙なすれ違いからリヒャルトが信じられなくなる。この展開が大変切なくて良かったです。読んでいて、これは絶対ミレーユの勘違いなんだろうなぁと思いつつも、彼女の置かれた状況を考えると、そう思ってしまうのも納得出来てしまう。でもこのすれ違いがあったからこそ、仲が一層深まったような気もします。深まったとは言っても、どちらも奥手な2人。まだまだ
個人的に好きなのはセシリア王女。これは素晴らしいツンデレです。フレッドの事が大好きっぽいのに、口ではキツくあたるんだけど、でも嬉しいのが顔には出てしまう。入れ替わっているミレーユに簡単に見抜かれるぐらいだからなぁ。からかわれると怒りだして、物凄い怪力を発揮して部屋にあるものを家具に到るまで投げつけてくるのも面白い。このキャラ、後で怒ってしでかした事を思い返しては落ち込んでそう...とか考えると、超可愛い。
こんな感じの1冊でした。既刊は沢山あるみたいですが、面白かったので最後まで追いかけようと思います。続きが楽しみ。