サクラダリセット 4

サクラダリセット』4冊目。今回は短編集です。ネタばれしているので、未読の方は注意。
本編とは趣が少し異なる日常的な話や、サブキャラにスポットの当たった話など、どの話も魅力的な出来で満足。最後の1話『ホワイトパズル』は『サクラダリセット』とは無関係の話だったそうですが、あとがきを読むまで、同じ世界の話だと思っていました。そのぐらい雰囲気がピッタリ。

収録されている話の中では、高校1年生の時の話が一番良かったです。春埼が、どうしてケイの指示でリセットをするようになったのか? と言う部分が語られている話。相麻が死んですぐの時期の話で、ケイも春埼も傷つき悩む展開。決して明るい話ではありませんが、シリーズの中ではとても重要な話だったと思います。
特に強く印象に残っているのは、ケイの持っていたストラップの話。元々自宅の鍵に付けていたものを、春埼にあげる事になるのですが...そこに込められた意味に震えました。いつかは帰る場所、絶対に手放さない場所。そんなものの先に付けて欲しいと思っていたケイ。でも「Strap」と言う単語には縛り付けると言う意味もあって。相麻の事やリセット、咲良田を取り巻く様々なものに縛られている事は確か。春埼に渡した事は、それを象徴するような印象も受けましたが、そんな「縛る」と言う意味よりも、ケイが元々感じていた「絶対に手放さないと思える存在に渡す」と言う意味が込められていると信じたいです。例えこの時は違ったとしても、いつかはそうなる。だよね?