二年四組 交換日記

Book

第9回スーパーダッシュ小説新人賞･佳作受賞作。
舞台は私立伯東高校の、問題児ばかりが集められた二年四組。クラスを仕切る委員長の指令で、クラス全体で交換日記が開始。誰が書いたのか、そして次に誰に渡るのかは秘密に伏せられ、日記の中でもクラスメイト同士はあだ名で呼び合い、本名がなかなか明かされない。そして、クラス全体を巻き込む事件が起こって...と言う展開。
パスル小説と言うものを初めて読みました。面白かったです。キャラの名前が最初はあだ名だけしか分からず、読み進めていくうちに、あだ名と本名の関係が分かってくる流れ。巻頭カラーイラストの所に、キャラ絵とあだ名、そして各キャラが所属する派閥が一覧として載っています。これはスーパーダッシュ文庫のホームページからpdfでダウンロード出来て、印刷して使えばメモを取りながら読める...と言う面白いサービス付き。せっかくなのでメモをしながら、本名当てのパズルに挑戦してみました。それほど難しくは無く、半分ぐらい読んだところでリストは全部埋まった感じ。「交換日記」とタイトルにあるように、各章は誰かの書いた交換日記。誰が書いたのか? も明かされていませんが、これも解き明かせます。
ストーリーは群像劇っぽい展開。クラス一つ分のと言う大人数が動いている割には、どのキャラも特徴がハッキリとしていて良かったです。流石にキャラが多過ぎて出番の少なかったキャラもいたけど。しかしバラバラに動いていた話が徐々に収束していくのは良い感じ。さらにクラスメイト同士の恋愛模様もあって、盛り沢山の内容。パズル要素にばかり目が行ったけど、それ以外の部分も読ませてくれる内容でした。


しかし読み終わって思ったのですが、これは新人賞受賞作。応募時点では巻頭の一覧表なんて無かった訳だから、「本名」だけじゃなくて「性別」と「所属派閥」もパズルとして仕込まれているんだろうと思います。あだ名とイラスト、派閥の対比があったから、大分難易度が下がった感じがします。最初の一覧表が無ければ、そもそもクラスメイトが何人にて、どんなあだ名の人物がいるのか? も全く分からない状況で始まる訳だし。イラストで性別も分かったしなぁ。
と言う訳で、本気でパズルに挑みたい猛者は、冒頭の一覧表は見ないでやってみると面白いかも。