オワ・ランデ! ヤレない貴族のオトシ方

第9回スーパーダッシュ小説新人賞・大賞受賞作。
魔法がそれなりにある現代日本が舞台。主人公は男子高校生で、禁じられている召喚術を使い、人一倍充ち溢れた性欲を満たすため、サキュバスを召喚。しかし現れたサキュバス・ロセリーは、サキュバスの中の貴族で、10秒触れれば精力を吸われ過ぎて死んでしまう程の力を持っていて...と言うお話です。
エロコメかと思いきや、話の本筋はエロとは無関係な内容でした。確かに主人公はエロ目的でサキュバスを呼んだのですが、それは表の理由。召喚術は禁止されていて、バレたら問答無用で牢屋行き。その危険を顧みず、寧ろ捕まる事を前提にしている主人公の行動は、裏の理由がある事を容易に想像させます。
しかし、その裏の理由。これがずっと秘密のままで進む展開がどうにも。序盤でいきなり全部明らかにされても困るんですが、終盤の終盤まで引っ張られるのも、これはこれで辛い感じが。引っ張るだけ引っ張って、最後の最後で出てきた本音は、確かに理由としては充分だと思うのですが...引っ張られた分、もっと凄いものを想像してしまい、少し拍子抜け。引っ張ってる部分は同じような展開が続いたし...盛り上がりに欠けたように感じました。
ただ、個人的には生贄の話がキチンと伏線になっていて一安心。話に絡まず終わったら、最悪な読後感になっていそうだったので、良かったです。