すいーとブラッド

『ごくペン!』作者の新シリーズ。
主人公は男子高校生。放課後、普段から制服では無くドレスを着ているクラスメイトの少女・詩絵の後をついて行くと、そこは魔界。実はこのクラスメイト、吸血鬼だった!! とある事情により彼女から血を与えられ、自身も吸血鬼なり、誰とも口をきかない孤高の花だった彼女と急速に仲良くなって...と言う感じに話が進みます。
面白かったです。『ごくペン!』が凄いコメディだったので、この続編はどんな話になるのか...と思いましたが、こちらもコメディでした。でもコメディだけじゃなく、恋愛モノで、でもシリアスなシーンもあって...と色々な要素が混ざっており、しかも、それが上手く融和していて読んでいて違和感が無いのが素晴らしかったです。
ヒロインの真っ直ぐな愛情に流されそうになりつつ踏ん張る主人公も良かった。吸血鬼の血は媚薬のような効果があるようで、ヒロインの積極性も手伝ってかなりギリギリな部分まで追い込まれますが、それでも踏みとどまる。その誠実さに好感が持てました。
そしてヒロイン。吸血鬼にとって、血を与えるのは自分の伴侶を作る行為。ヒロインはとある事情で死にかかっていた主人公を助けるため、元々クラスで自分に唯一話しかけてくれる主人公になら...と血を分け与えましたが、その理由の奥には、自分の心の底にある寂しさを伴侶を作る事で紛らわせたい、そんな気持ちがあったのも事実。でも、主人公と行動を共にする内に、想う気持ちがドンドン本物になっていく感じがしました。血のせいかもしれないけれど、それだけでは説明できない気持ち。その気持ちを抱えて主人公に突撃しまくるヒロインが、凄く可愛かったです。
ラストではラブコメ的に三角関係になりそうな展開があったし、今後も楽しみなシリーズ。続きに期待です。