ベティ・ザ・キッド(上)

秋田禎信の新シリーズ。『ザ・スニーカー』に連載されていた作品をまとめたもの。
砂漠をメルパカと呼ばれる戦車に乗る凄腕の賞金稼ぎ・キッド。しかし噂だけが一人歩きしたその正体は、父親を殺した冤罪をかけられた少女で、何でも出来るウィリアムと、不思議な能力を持つ少女・フラニーと言う2人の仲間と共に、真犯人と思われる賞金首・ロングスライドを仇として追いかけるのだが...と言うお話。
久々に秋田禎信の本を読みましたが、相変わらずで一安心。読んでいて、ふとした瞬間に「これは秋田禎信の本だ」と感じる事が多々あり、妙に嬉しくなりました。
男装で正体を隠し、凄腕の賞金稼ぎと思われているキッドだけど、その正体は普通の女の子。仲間しか人目が無い時の振る舞いは本当に普通の女性なんだけど、いざ仇を目の前にすると復讐の鬼となる。戦う事を知らなかった少女が、賞金稼ぎとして死と隣り合わせの世界に飛び込むのは相当の覚悟があっただろうに...。普段の女性としての一面を決して失わず、それでも仇を憎む所に、迫力と凄みを感じました。
また、いざ戦いになると、判断に迷いが無い。迷ったら死ぬと言う状況で迷わない。自分の出来る事と出来ない事をハッキリと分かっていて、無茶はしないで逃げると言う部分も、目的を間違えないのが凄い。流石、相応の覚悟をして飛び出しただけの事はあるなぁ。
下巻は11月。楽しみです。