"文学少女"見習いの、卒業。

"文学少女"見習いシリーズ、これにて完結。遠子先輩が卒業し、残された心葉。新一年生として文芸部に入部して、ひたすら心葉へアタックを繰り返した菜乃。心葉の卒業が迫る中、菜乃の親友・瞳が抱えた問題を解き明かしていく展開。
こんなに切なくて哀しくて、でも幸せで笑顔が溢れる結末が読めるとは思いませんでした。菜乃の恋が実る事は無い。遠子先輩がいる以上、覆らない事実。だから、心葉の卒業と同時に彼女の恋に一区切りが着く事は最初から分かっていた事ですが...その瞬間にどんな風に辿り着いて、菜乃と心葉が何を思うのか。楽しみにしていた結末が、こんなにも素敵なものになるとは。予想以上の素晴らしい結末に、涙が止まりません。最後の1ページをめくった時の感動はどう言えばいいのかわからない。このエピローグのためだけに、シリーズ全部読んでも損はない、そう思うぐらいの素晴らしいラストでした。普段あとがきから読む人でも、今回ばっかりは後回しにする事を激しくお勧めします。ページをめくり間違って、先にラストに目を通すような事は間違っても避けないと。

また、メインのお話となる瞳の話ですが、題材となる文学作品は夏目漱石の「こころ」。学校に司書としてやってきた忍成先生と瞳、そして2人の過去に絡む、自殺した少年・櫂。この3人の関係がそのまま「こころ」の先生とK、お嬢様に照らし合わされて進むのですが、「こころ」って決して幸せな話ではないので、これと照らし合わせる事がしっくり来てしまう時点で辛い。でも、その裏に隠された真実は決して不幸なものではなくて。ちょっとしたすれ違いが生んだ悲劇。過去は変えられないけれど、残された人達が前向きに生きて行く姿を見る事が出来て良かったです。

と言う訳で、とても満足なラストで幸せでした。楽しかった!! ...しかし、あとがきの後にあった広告で驚愕したんですが、まーじーで!?