あるいは現在進行形の黒歴史

無限のリンケージ』の作者の新シリーズ。主人公は高校生。妄想大好きな妹がノートに書き綴った6人の天使の設定が、なんと現実化。しかしそのうち5人の天使は逃げてしまい、各地で騒ぎが発生。残った1人は殺戮の天使・マシリエル。彼女は他の天使を捕らえようとしており、契約を結んで彼女を手伝う事になったのだが...と言う感じに話が進みます。
面白かったです。見た目は美少女だけど、とにかく妄想と兄が大好きな妹が良い感じ。かなり暴走気味なのですが、それが嫌な感じじゃなくて、読んでいて普通に楽しいです。また、実は逃げた天使は元々幽霊で、マシリエルは死神。これが妹の妄想力を借りて実体化したと言う設定なのですが...マシリエルは無口なキャラだけど、決して冷たい訳じゃなく。これまで人の世界を見聞きする事は出来ても、実際に自分の感覚で味わった事は無い。そんなマシリエルが身体を得て、主人公をパートナーに選び、現実世界を生きる。殆ど表情や態度に出ないけれど、それでも時折垣間見える、主人公との交流を楽しんでいる様子が素晴らしかったです。
そして主人公。厳しくも優しい家庭環境で育ったためかやたらと懐の広い性格なので、平凡な生活を望むものの、妹やマシリエルが困っているなら放っておけない。しかもただ甘いんじゃなくて、叱る所はシッカリと叱るんですよね。メリハリがあってこれがまた好印象でした。主人公が格好良いと、読んでて楽しいです。
こんな感じでとても満足な1冊でした。続きが楽しみ。