天地明察

冲方丁歴史小説。積んでる間に本屋大賞を取ったり直木賞候補になったりと色々ありましたが、ようやく読みました。
江戸時代を舞台に、碁打ちであり天文学者であった渋川春海の生涯を書いた1冊。碁打ちとして城に通いつつ、算術が好きで、神社に奉納されている絵馬に書かれた問題に没頭していた若者が、誤差の大きかった当時の暦を改暦する事業に乗り出すお話です。
面白くない訳が無いからいつ読んでもいいや...と思って積んでいたのですが、読んでみたらやっぱり面白くて最高でした。改暦と言う大事業を前に、最初は頼りなかった晴海が、沢山の人の協力を得て自信をつけていく展開が素晴らしかったです。しかし改暦は簡単には行かず、大きな挫折もありましたが...でも、それでも。改暦に携わった長い年月の中、一体幾人が彼に夢を託した事でしょう。1人、また1人と先に逝く中、彼らの想いを受け取った以上、諦める訳には行かない。多くの人の想いを乗せて、ようやく掴んだ「天地明察」。この展開は熱いとしか言い様がありません。最後には本当に立派になった晴海の姿をみて、思わず泣けてきた...。
また、どこまで史実に忠実なのか分かりませんが、個人的には「えん」さんが良かったです。晴海が改暦に没頭出来る支え続ける。内助の功ってこう言う事を言うんだろうなぁ。そして最後2ページ。もうジンワリとした気分で、半ば泣き笑い状態で最後の「了」に辿り着きました。最後まで本当に素晴らしかった。大満足!!