境界線上のホライゾン 3

川上稔の新刊。700ページオーバーだけど、前巻に比べたら大分薄い。
前巻で英国を発ち、武蔵修復と補給のためにIZUMOへ。東国の里見、清武田、北条との会合、色々あって仏蘭西との対決...と話はそれなりに動きますが、それでもまだまだ序盤。これだけ分厚いのに...。しかし要所要所の面白さは流石。トーリのお馬鹿さ加減には電車の中で危うく爆笑しそうになったし、不意に襲ってくるコメディと言うかネタの数々が良かったです。一方、燃え上がるような熱さはまだ鳴りを潜めている様子。上巻だし、下巻までお預けでしょうか。次は中巻らしいけど。
個人的には、表紙を飾ったミトツダイラに焦点が当たりそうで当たらないのがもどかしい。仏蘭西出身だけど水戸松平を襲名した人狼娘なのですが、このキャラ大好きです。このシリーズ...と言うか前の『終わりのクロニクル』も合わせて、登場人物が皆誇り高いのですが、騎士で人狼で家柄に事情を抱えつつも武蔵の国に仕える決意を固めているミトツダイラは特にお気に入りです。強さだけじゃなく、所々に弱さもにじみ出て、でもそれは何とかしたいと思う気持ちから出てくる。この先、どんな決断をくだしてくれるんだろうと思うと、熱くなります。
でもラストを読む限り、ミトツダイラが話の中心になりそうな感じはあるので、次の巻以降に期待。