〜覚醒遺伝子〜 空を継ぐもの

電撃の新人? な人の作品。思いっきりネタバレ感想なので、未読の方は注意。
一度かかると生存はほぼ絶望と言う眠り病。高校生の主人公は、夢の中で毎晩のように出会う少女に病院で遭遇。この少女・ツェツェは、実は眠り病から唯一目覚めた患者で...と言うお話。
何とも微妙でした。眠り病、眠りから目覚めたツェツェ、化石として見つかっている有翼人種、そして天使。この辺をキーワードに、主人公とツェツェの交流を通して眠り病の真相が徐々に明らかになる感じで話が進んでいくのですが...その本筋よりも、主人公のクラスメイトで幼馴染のヒロイン・乃絵瑠が不憫で不憫で読んでいて哀しくなりました。
医者の息子である主人公に「自分が眠り病にかかったら治してね」と冗談交じりに伝えていた乃絵瑠。本当に眠り病にかかり、主人公はその後医者に。しかしその目的は乃絵瑠を目覚めさせる事よりも、半分以上はツェツェのため。努力が実って乃絵瑠を目覚めさせる事に成功したものの、主人公の気持ちは乃絵瑠には無く、ツェツェの方しか見ていない。その事実を乃絵瑠が知る所までは書かれていませんが...その時を思うと、やるせない気分で一杯になりました。7年の眠りから目覚めて、本当に主人公が医者になって自分を助けてくれたのに、それはツェツェのついでだった...とか、辛いよ。
もう少しツェツェとの話が楽しめれば、感じ方も違ったのかもしれませんが、そっちも感情移入出来なかったし、自分には合わない1冊でした。