星灼のイサナトリ

砂漠に覆われた星が舞台。砂漠には鯨が泳ぎ、現地の民・テラナーは砂上船に乗り、ヨロイと呼ばれるパワードスーツを駆って鯨狩りをして生活していた。この星には1本の巨大な塔があり、この塔はテラナーよりも進んだ文明を持つ人々が暮らしている。主人公はこの塔の高校生。とある事件をきっかけに塔を脱走し、テラナー達の船に身を寄せる事となり...と言う感じに話が始まります。

砂漠! 鯨! 狩り! この設定をあらすじで読んで買う事に決めました。火器を殆ど使わず、パワードスーツで剣やら弓やら鉈を手に鯨に挑む。なんともロマン溢れる設定が素敵です。
塔の人間である主人公は、精神を同調させて操るヒルコと呼ばれる生体アンドロイドの扱いに長けているのですが、脱走した身でそんなものを持っている訳もなく、また持っていてもとある事情から使いたくない。ヌクヌクとした生活を捨て、灼熱の太陽が照らす世界に飛び出して身体一つで生きていく生活を選んだ主人公が、塔の外に初めて出て、風と太陽を生身で感じた時の感動はいかほどだったんだろう...と考えると、それだけでワクワクします。
しかし、主人公が塔からの脱走者、しかもある理由から塔から追っ手がかかっている状態なのが残念。文明の進んだ塔は、つまる所この星に移民してきた地球人の末裔で、かつての文明がそこのみ維持されている感じ。せっかくロマン溢れる設定なのに、塔の話が絡むと途端に文明の匂いがしてロマンが遠ざかっていく...。この塔との絡みが核なんだろうし、無いと話が進まない気もするけど。

なんにせよ、まだ1巻が始まったばかり。続くんだよね...? 今後の展開に期待。