天冥の標 1

小川一水による全10巻の長編シリーズ第1巻。上下巻まとめての感想です。
地球から植民した星・メニー・メニー・シープが舞台。星の生活を支えるのは植民船に搭載された発電炉。その電力を一括管理する総督の横暴に、市民達が立ち上がる...と言う展開。

この1巻は完全にSF。未来の植民星で繰り広げられる反乱を書いていますが、長編シリーズの最初と言う事で、まだまだ序盤と言う感じ。所々謎めいた伏線を張りつつ進む展開は良かったですが、この巻だけでは何とも言えません。別につまらない訳じゃないけれど、大絶賛するほどでもない。でも、全部で10巻まで続く予定と言う事を考えると、この事件ももっと大きな物語の布石でしかないはず。ここからどんな話が繰り広げられていくのか、全く想像つかない所が期待を煽ってくれます。
1巻の主人公は医者で、未知の生物の血液から感染する伝染病の治療と、その未知の生物との交流から話が始まるのですが...あとがきを読む限り、この伝染病が今後のキーワードになりそう。続きが楽しみです。