殺戮ゲームの館(上)(下)

登場人物は大学のオカルトサークルに所属するメンバー11人。集団自殺のあった古びた洋館を探していたところ、突然意識を失い、気が付くと密室に閉じ込められていた。そこで命を懸けたゲームが始まり...と言うお話。
題材となったゲームは『人狼』でしょう。ゲームは昼と夜のパートに分かれ、夜のパートではメンバーのうち誰かが魔物に殺される。昼のパートの内に、メンバーの中に潜んだ魔物を探さなければならない、と言う展開。ルールは人狼より少し複雑になっていて、生き残るのがとてもシビア。
突然極限状態に置かれた11人が、誰が魔物か分からない状態でお互い疑心暗鬼に駆られ、パニックに陥っていく展開が面白かったです。上下巻に分かれていますが、文章は読みやすくてサクサク読み進められて良い感じ。と言うか、読んでいるとドンドンと続きが気になってページをめくる手が早くなりました。
望まないまま命のやりとりをしなければならなくなったメンバー。元々の人間関係は上手く行っているようでも、こうした状況に置かれ、本音が出てきて上手くいかなくなるのが怖いです。冷静に行動する人、冷静を取り繕うとする人、声を荒げる人...と、色んな人がいてぶつかり合う。人間のドロドロとした黒い部分を見せ付けられました。

しかし結末がちょっとモヤモヤする気がしたのは自分だけでしょうか。ちゃんと決着は着いていますが、アッサリと終わったと言うか、何事も無く日常に戻っていったような雰囲気がシックリ来なかったです。自分がこの状況に置かれたら、ずーっと後を引きそう。まぁそもそも自分だったら生き残れるとは思えませんでしたが。