塩の街

有川浩のデビュー作を角川文庫版で再読。元々は電撃文庫から出ていた作品ですが、その後単行本化して、さらに文庫落ちしたのがこの角川文庫版。単行本版から、電撃文庫版には無かった後日談が追加されています。
最初に電撃文庫版を読んだ時、あんまり好みな作品じゃありませんでした。6年振りに読み直して、昔の感想とはまた違った感じ方をしたのですが、それでもやっぱり本編はそれほど好きじゃない。恋愛成分が楽しめるようになった一方で、「ここで終わるのかよ!」みたいな気分が否めませんでした。
しかし、今回は後日談がある。これを読んで、大分印象が変わりました。この世界はこう言う風に続いたんだ...と、はっきり分かり、秋庭と真奈の未来がちゃんと読めたのが嬉しかったです。何となく満たされた気分。後日談のボリューム、凄かったし。本編と同じぐらいの分量があって、幾つかの短編に分かれている構成。秋庭と真奈だけじゃなく、他のキャラや過去の話にも触れているので、痒いところに手が届いた感じ。満たされた気分です。
と言う訳で、電撃文庫版しか読んだ事の無い方は、角川文庫版で再読してみるのも良いのでは? と思わせてくれる1冊でした。単行本版とは差が無いとの事ですが。