空色パンデミック 1

第11回えんため大賞・優秀賞受賞作。
空想病。突如として空想に囚われ、現実との区別がつかなくなる。高校受験の日、そんな空想病の少女と出会った主人公のお話。
設定が凄かったです。空想病とは、自分で作った設定の世界に浸りきり、役になりきってしまう病気。要は中二病を本当に病気にした感じですね。本人だけが空想の世界に浸る「自己完結型」と、周囲の人間も空想の世界に巻き込まれてしまう「劇場型」と言うバリエーションがあり、世界中に患者がいると言う設定。中二病は良く聞く言葉ですが、それをさらに発展させた設定が見事。作った話が一段落すれば正気に戻るため、患者のそばには空想に合わせて話を進める役者まで配置されているとか、よく考えているなぁと思いながら読んでいました。
お話としては、空想病の少女と出会った主人公が、彼女に振り回されながら交流を深めていく展開。設定の凄さにばかり目が行ってしまい、正直、主人公とヒロインの交流は普通な感じが否めなかったのですが...最後は良かったです。詳しくはネタバレになってしまうので書けませんが、どうやら自分も空想病に巻き込まれていた模様です。この展開は予想できなかった!!
1冊で綺麗にまとまっているように思えたのですが、タイトルを見ると「1」の文字が。続くのかー。