神さまのいない日曜日

第21回ファンタジア大賞・大賞受賞作。
神に見捨てられ死者は死しても生前と変わらず動き、逆に新たな子供が生まれなくなった世界が舞台。死者が安らぎを得るには、「墓守」と呼ばれる人々に埋葬してもらうしかない。ヒロインはそんな墓守で、とある村で暮らしていたが...と言う感じに始まります。

どうにも肌に合わない1冊でした。以下、完全ネタバレ全開なので未読の方はご注意ください。

ヒロインの言動が納得行きませんでした。これまでずっと共に暮らしてきた村の人々を殺され、さらに家族同然に暮らしていた人まで殺された。なのにその殺した人間に、あそこまで懐いてしまうのが分からない。
確かに殺された人々は元々死人。手段は乱暴だったけれど、その事実を突きつけられただけ。ヒロインが掘った墓穴の数と村人の数を考えると、村人が既に死人だと言う事には墓守として薄々気付いていたようだし、村を襲ったのは父親。だから憎もうにも憎みきれない...と言うのは分からないでもないんですが、ああも仲良くなる...と言う部分に、猛烈に違和感を感じました。
あの村の在り様は決して自然では無かった事は事実で、こうして真実に気付けた事はヒロインにとって救いだったのかも知れないし、ハンプニーに対して怒りをぶつけるシーンもちゃんとあったけど、それでもヒロインの立ち直りの早さがシックリ来ませんでした。親しかった相手にあそこまでされたのに、何で? と言う疑問が頭の片隅にくっついて離れない。ヒロインとしては、「墓守として死者を弔う」と全てを納得した上での事なのでしょうか。それとも相手が父親だったから? でも、血の繋がりってそこまで凄いのかとも思ったり。

こんな感じの事が頭の中をぐるぐる回って、結局最後までヒロインに共感出来なかったのが至極残念。気にし過ぎなのかなぁ。ハンプニーの不器用な生き方は嫌いじゃなかったのですが...。