テツワンレイダー 1

『七人の武器屋』の作者の新作。転がり込んだ莫大な遺産受け取った青年が主人公。どこからともなく沸いてくる自称・友人たちに嫌気が差し、すっかりひきこもりに。ある日市場で、とある人形を手にしたが、その人形、実は《剣精》。姿形を武器に変える事が出来る彼女の頼みで、50の《剣精》とその相棒達と競い、《至高の四本》を選ぶ《剣精試練》に挑む事になり...と言うお話です。

ゲーム感覚で進む試合や、裏に張られた伏線、剣精とのやりとり、そしてテンポ良く進む展開は好み。特に伏線の張り方が好きです。明らかに何か大きな存在が裏から操っているのが書かれているのですが、それがどう本編と繋がるかがとても気になります。
他人を誰も信じないと訴えていた主人公が結構アッサリ打ち解けているのは「はえー」と思いましたが、人間不信とはいえ、人との関わりに飢えていたようにも思えたり。剣精の存在も大きそう。ああも真っ直ぐにぶつかられれば、そりゃぁ心も変わるよね。

しかし、軽くてテンポ良く進むのは楽しいんですが...終盤の展開が微妙に好きになれず。何が気になったかと言えば、死ぬ人が出るとは思わなかった事。前作がコメディとシリアスを織り交ぜながらも、死んだ人だけはいなかったので、今回もそうかと思っていたので、ビックリしました。実際に武器を振るって争う事が必要なお話だから、命のやりとりがあるのは当然だとは思うんだけど、少し気になってしまいました。悪役はいても悪人はいない、そんな話を期待していたのが間違いだったのかなー。ヌルいと言われそうだけど...。
最初から「そう言うもんだ」と思って読めば気にならない話だし、世界設定と張られた伏線自体は好きなので、続きには期待。