Chrome Closed Chronicle

街の外は金属で溢れ、吸い込むと身体が金属と化してしまう金属粉が舞う。さらに人を襲う機械が跋扈し、人が住むには厳しい世界が舞台。機械と通じ、逆に利用する事で戦う力を得た想念士の卵である主人公が、同じ想念士の少女に出会う所から始まります。

世界観と設定がとても好き。『風の谷のナウシカ』の腐海を金属にした感じでしょうか。機械と人とが争うお話はいくつかあるけれど、それに加えて世界そのものが人間に非情なまでに厳しいのが、あまり見ない設定で新鮮でした。主人公の能力も、そこらに転がっている機械の罠を操って敵に挑む...と言うもので、これもなかなか無い能力。頭を使って罠を応用して戦うのが良い感じでした。

一応上官に当たるヒロインは、極度のツンデレ。口は悪いしすぐに暴力に訴えるし、最初は無茶苦茶な性格だなぁと思っていたのですが、後半、生い立ちと過去にあった事件が明かされると、そう言う事か...と少し納得。しかし、主人公の天然な善人さがちょっと怖い。困っているヒロインを放っておけず、共に死地へと赴く。立派だし見捨てられないのも分かるけれど、どことなくシックリ来ません。病に侵されている妹の為に想念士を目指し、己の目的もハッキリと見定めているのに。

こんな感じの1冊でした。この世界観の中、この先どんなお話になるのか、少し期待。