世界の中心、針山さん 3

久し振りな新刊。各話、ほんの少しずつ繋がりのある連作短編集です。

全部で5話収録されていますが、それぞれが微妙な繋がり方をしている所は成田良悟らしくて良い感じ。他の作品みたいにキャラ沢山で理解が追いつかない! なんて事も無いし、読みやすいですね。個人的には3話目の工場長の話が特にお気に入り。子供の頃に巨大ロボに憧れ、そのパイロットを目指す。でもロボット自体が無い。じゃあ自分が作る! と技術者の道を歩み、本当に作ってしまう。いつまでも少年の心を忘れずに夢を追い求めている所だけでも熱いのに、最後の展開でさらにやられました。これは素晴らしいです。シリーズを読んでいなくても、この話だけでもオススメしたいぐらい。短編なのでいきなりこれだけ読んでも、何の問題も無いし。