サクラダリセット

グループSNE所属の人のデビュー? 作。
誰もが何かしらの能力を持っている街・咲良田。高校の奉仕クラブに所属し、この街の管理局からの依頼を受けて事件や問題の解決に走っている少年・ケイが主人公。一度覚えた事は決して忘れない能力を持った彼は、3日前までの「セーブポイント」まで時間をリセットできる少女・春埼と共に、ある日、「猫を生き返らせて欲しい」と言う依頼を受けるのだが...と言うお話です。

リセットされても、持ち前の記憶能力のお陰で記憶だけは過去へ持っていける主人公が、情報を集めて危機が迫れば過去へ逃げる...と繰り返し、徐々に事件の真相に迫っていく展開。元々は猫をリセットで生き返らせるだけだったはずが、その裏には色々な思惑があって、気が付けば結構な事に。

リセットを上手く使い徐々に真相に近づいていく展開は、先が気になって良い感じで面白く、さらに綺麗な文章で淡々と綴られ、凄く透き通った雰囲気が素敵。...しかし、読んでいて少し怖い。そう感じた作品でした。

一見普通なんだけど、登場人物は皆どこかしらどこか欠けた所がある。そんな話を作中で主人公がしていたのですが、一番欠けているのは主人公じゃないかなぁ。ラストの彼がとった作戦を読んでそう思いました。そこまでするのか...いくらリセットがあるとは言え、正気か? と思わざるを得ないのです。主人公の能力を考えると、あの瞬間の記憶をこの先ずーっと持ち続けていくんだよなー。主人公の過去を考えれば、それだけの信念を持っているのは理解できるけど、それでもあの決断を下した考え方は怖い...。「一見普通」と言う所と実際の行動の微妙なアンバランスさが、よりそう感じてしまう理由なのかも。

こんな感じの1冊でした。面白かったので次も期待。あとがきを読む限り、2巻も出そうな雰囲気だし、楽しみです。