耳鳴坂妖異日誌 手のひらに物の怪

第11回角川学園小説大賞で奨励賞を受賞した作者のデビュー作。
ある日突然、主人公の携帯電話に妖怪な少女・ミコトが憑いて、奇妙な共同生活を始めた2人。これをキッカケに、街に耳鳴坂と言う妖怪達の起こした事件を解決する組織がある事を知り、その手伝いをする事になって...と言うお話。

面白かったです。かなりお気に入りかも。妖怪ものって好きなんですよ。他のファンタジー要素に比べて少し身近な感じがすると言うか...人と妖怪、妖怪と妖怪が手を取り合って何かすると言うお話が好き。角川スニーカーの『妖魔夜行』とか大好きだった自分としては、こういうお話は読んでいて嬉しくなります。雰囲気は大分違いますが。これは妖怪絡みの事件を扱うものの、少しコミカルなテンションで進むので暗くならず、それでいて大事な所ではちゃんとシリアスな雰囲気。メリハリがついているのは素晴らしい事です。

また、頑張る主人公が良い感じ。耳鳴坂を手伝う事になり、妖怪と言う"特別"に触れて浮かれ、んで失敗して挫折して、でも励まされてもう1回頑張る。こう言う熱さ、読んでいて盛り上がるなぁ。相棒である携帯妖怪・ミコトとの信頼関係とか、先輩でメインヒロイン? な刹里とのやりとりも面白いし。総じて満足。続編を超希望。