オルキヌス 稲朽深弦の調停生活

第1回GA文庫大賞・前期奨励賞受賞作。

孤島・オルキヌス。ここにはオルカと呼ばれる様々な生き物の楽園。オルカ同士の諍いを仲裁する調停員として、この島に来る事となった主人公・深弦だったが、世話になるはずの事務所の先輩が行方不明で...と言うお話。先輩に代わり、新米の主人公が調停に励む事で話が進みます。

戸部淑のイラストが大好きなので買ったのですが、結構面白かったです。土蜘蛛, 人魚, ハーピー...etcと言った、空想上の生き物が現実に生き、種族間のイザコザを解決する。調停の手段は話し合い。お互いの意見を聞き、落とし所を見つけて解決するんですが、主人公はまだ新米。失敗も経験し、でもめげずに成長していく所が良かったです。

こう書くと、凄く真面目なお話のように見えますが...会話のテンポとか内容はとってもコメディ風味。サクサクと読める軽快さに加え、アチコチにある面白トークのお陰で、途中で何度噴き出した事か。最初の人魚の所とか...叩きつけるって。爆笑でした。他にもケンタウロスとの調停も、オチが楽し過ぎて素晴らしかったかと。

こんな感じの1冊でした。コメディ部分とシリアス部分が良い感じに共存していて、変に混ざっていないのが好印象。世界観自体も、どんな生き物がいてどんな生活をしているのか...と考えるとワクワクしてくるし、これは良いシリーズになる気がします。続きにも期待。