とある飛空士への恋歌

とある飛空士への追憶』の続編...と言うか、同じ世界観を使った新作。前作とは話に繋がりは全くありません。
主人公は革命で全てを失った皇子・カルエル。街の機械工の家に拾われ、飛空士となる夢を持ちつつその家の2人の姉と1人の妹と共に育てられたが、ある日、空に浮かぶ島・イスラに推進器をつけ、世界を2分する大瀑布の果てを探す旅に出るプロジェクトに義妹と共に参加する事に。その島には、革命で象徴として祭られた少女・ニナもいて、主人公は復讐を誓うが...と言うお話。

空飛ぶ島で暮らしつつ、世界の果てに挑む。最初にこれを読んだ時、そのロマンに胸躍りました。期限は「見つかるまで」。神話の中でしか語られる事のない存在を求めて飛び立つ。普通に考えれば戻ってくる事の出来ない旅で、色々と事情を抱える主人公は島流しにあったようなもの。主人公自身、それは承知の上の旅路。けどそれでも、ロマンを感じざるを得ない設定がとても気に入りました。

また、「拗れさせますよ」と言わんばかりの人間関係が最高です。まずは義妹・アルエル。主人公と共に島にある飛空士学校へ通うのですが、どう読んでも主人公の事が大好きなのに、素直になれずに喧嘩ばかり。メインヒロインっぽいけど...すでに当て馬っぽい立ち位置にいるのが哀しいところ。良い娘なのに。そして同級生のクレア。オドオドとした変わった性格のキャラですが、主人公とは息が合いそうで。最後はニナ。主人公の復讐の対象なので、話に絡んでこないはずがありません。

こんな感じの1冊でした。話はまだまだ序盤で、普通に続く感じで終わっています。普段は強気だけどいざとなるとヘタレと言う、かなりどうしようもない性格の主人公がこの先どう変わっていくのか、とても楽しみです。期待期待。