パララバ - Parallel lovers -

第15回電撃小説大賞・金賞受賞作。
主人公は女子高校生・綾。とあるキッカケから、会った事の無い他の高校の男子・一哉に恋をするけど、ある日その男の子が事故で死亡。落ち込んでいる中、携帯に想い人からの電話が。出てみると、確かに本人で...と言う感じに始まります。

タイトル通り、パラレルワールドを扱った作品。ヒロインである綾の生きている世界では一哉が死んでいて、一哉が生きている世界では綾が死んでいる。そして2つの世界を繋げているのは携帯電話のみ。一哉の方の世界ではヒロインが殺されたと言う設定で、そこから互いの死の真相を調べる、と言う感じに話が進みます。

互いに想い人を失った絶望の中、携帯電話のみに希望を見出し、失った穴を埋めるかのように事件の真相を追い求める主人公達が、とにかく切なかったです。死んだ人間は生き返らない。いくらパラレルワールドと言う非現実的な事象が発生したとは言え、この大原則は覆らない。全てが終わった後の物悲しさがズッシリと来る読後感。もう少し幸せな展開があれば...と、思わずにはいられませんでした。そのせいか、ちょっと物足りなくも感じたり。事件の真相が、「そんな理由で?」と思わずにはいられない感じだった事も大きいのかも。

こんな感じの内容でした。読み終わってやるせない気分で一杯になった、そんな1冊でした。