ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!

第10回えんため大賞・優秀章受賞作。
主人公は平凡な高校生。ある日、大好きなギャルゲーが自分を主人公として現実化。いきなり出来た姉妹や幼なじみや学園のアイドルに囲まれ、幸せだったはずが、ゲームのシナリオから徐々に現実がずれていき...と言うお話。
これは面白かったです。ギャルゲーのシナリオと言えば、攻略キャラに沿ってルートがあるのが普通ですが、ルートを選ばれなかったヒロイン達はどうなるの? と言う部分に注目したような内容。最初は流されるように突然の展開を楽しむだけだった主人公が、自分の知らない展開になるにつれ焦り、しかし全員を幸せにしようと奮闘する展開が良い感じでした。

元々行動的では無い主人公なのに、このまま流されれば誰も幸せにならないゲームと現実の違いに気付き、慣れないながらもアレコレ頑張る。そのままヘタれてしまったらどうしよう...なんて思いながら読んでいたんですが、キッチリやりきった主人公は素晴らしいですね。ドナーの所とか、少しご都合主義だなーと思うような部分もあったりしたんですが...読み終わってみれば大して気にならず。面白かったです。

最後の選択には賛否両論あるようですが、個人的には有りだと思いました。ヒロイン達の存在が逃げ場所になっていないからかなぁ。キチンと現実の一部として受け止められるのであれば良いんじゃないかと。

こんな感じの1冊でした。普通に楽しめて満足。