CODE-E 遥かなる囁き

アニメ『CODE-E』のノベライズ版。と言ってもアニメの設定を利用したオリジナルストーリーだそうで。原作アニメは全く知りませんが、榊一郎が書いてるので読んでみました。
電磁波に干渉する力を持った少女たちのお話で、触れた相手の思考を読んでしまう少女と、その幼馴染の少年が主役。2人の微妙な距離感が、高校に入り、自分の力に偏見を持たない人々と触れ合う事で変化していく展開です。
原作を全く知らないので楽しめるかどうか不安でしたが、結局普通に楽しめました。と言うか...何を書いても、榊一郎榊一郎ですねー。これは本当に凄い事だと思う。どんな設定を前にしても、この人の文章はすんなりと入ってきます。何の違和感も無く、すんなりと読めてしまいました。原作を知らないから、先入観が無かったのも大きいかも知れないけど。
お話としては、メインとなる恋愛と、遥か彼方にいる存在へのメッセージの2本立て。主なのは恋愛側だけど、もう1つのお話の方がそれを支えるように進んで良い感じ。綺麗にプロローグへ繋がる展開が素敵です。恋愛側も、相手の心が分かってしまうと言う設定から他人を避けていたヒロインが、徐々に意識変わりをしていく展開。これが微笑ましいと言うか初々しいと言うか。結末は容易に想像がつくのに、そこまでの過程を応援したくなる流れが良かったです。やっぱりハッピーエンドじゃないとね。
と言う訳で、普通に満足な1冊でした。しかし...これで榊一郎の本を読んだのは、今年何冊目だろう? ほぼ毎月読んでる気がするなー。