銀色ふわり

有沢まみずの新刊。
他の生物の存在を認知できず、また他人からも認識されない"黄昏の子供たち"と呼ばれる少女・銀花がヒロイン。んで、お互いにビデオや補聴器を通してなら他人との交流が出来る彼女と、何故か一切の機械を用いずともその存在を認識し合える少年が主人公。2人が偶然にも知り合った事で、話が始まります。


そう言えばこの人、『インフィニティ・ゼロ』でデビューしたんだっけ。『いぬかみっ!』の印象が強過ぎて忘れがちですが...シリアスで物悲しい、そんな雰囲気の作品でした。かなり面白かったです。
広い世界の中で、人も木も花も、生きているものは全て見る事も聞く事も触れる事も出来ない、そんな状況で生きる。想像するだけで激しく嫌になるぐらい孤独で辛い宿命を背負った少女が、初めて生で感じられる主人公に出会って。その衝撃がどれほどのものだったのかは、とてもじゃないけど計り知れません。そして、初めて本当の理解者が得られた嬉しさも。押し殺していた不安を表に出せる。これがどれだけ嬉しかったのか、孤独から開放された時の銀花を見ていると良く分かります。とても良いお話でした。

しかし...話の行末を考えると、あんまり幸せな終わり方をしなさそうなのが不安です。ラストの方で決定的なシーンがあったりするし。けど、それでも。それでも、笑って終わるような結末が読みたいです。この設定で最後まで哀しく進むのは、本当に勘弁して欲しい所。続き、期待してます。