桜田家のヒミツ

新人さんのデビュー作。父親が悪の組織の下っぱ戦闘員として働く一家が、その組織が誘拐してきた女の子の世話をするよう命じられて...と言うお話。
ちゃぶ台で親子3人食事をし、寝る時は川の字。頑固親父とそれを支える優しい奥さん、そして父親に似て曲がった事が嫌いな息子。こんな3人と暮らす事になったのは、誘拐されてきた天才少女。最初は反発していたものの、家族の暖かさを知らず育った彼女には、この家は居心地が良くて...と言う感じに話が進みます。
そこそこ面白かったです。全体的に昭和な感じがする雰囲気が、味があって良い感じ。んで、どことなく古く哀愁を感じさせるキャラ達と生活環境に、最初は戸惑いながらも徐々に馴染んでいくヒロインが良かったです。また、預けられた一家の、同い年の息子と父親の関係も素晴らしかった。
父親は悪の組織の戦闘員と言う立場と、親として息子に「真っ直ぐに生きろ」と教える立場。相反する2つを抱え込み、息子とは衝突もあったけど、喧嘩の理由が父親が戦闘員である事を恥じている訳ではなく、父親の安否を気遣う所から来ているのが良かった。家族に飢えていたヒロインからすれば、これがどれだけ眩しく映った事か。何というか、家族愛に溢れるお話でした。
ホノボノするような内容では無いけど、代わりに人情味に溢れる展開で楽しませてもらいました。割と満足。