旅に出よう、滅び行く世界の果てまで。

電撃の新人さん。
存在が徐々に薄れていき、最後には消えてしまう「喪失症」が蔓延した地球を舞台に、既に名前が喪われた少年と少女がスーパーカブに乗って当ての無い旅に出るお話。
これは面白かった。少年と少女の旅先で起こる出来事を中心に話が進むんですが、出会う人も皆喪失症。徐々に存在が消えていくと言う設定なので、どことなく悲壮感が漂っているのに、それでも爽やかに、清々しく読めるのが秀逸です。この雰囲気、大好きだ。飛行機の話とか素晴らし過ぎる。
また、主役2人の関係もお気に入り。表面上は友達以上恋人未満なのに、中身は完全に相思相愛な所が良い感じです。作品の雰囲気を壊さない程度に入るラブコメ展開も個人的にはツボ。このまま末永く...と思いたいけど、喪失症の事を考えるとそうも行かないんだよなー。辛い所です。
と言う訳で、かなり楽しめた1冊でした。粗筋読んだ時は正直地雷かもと思ったんだけど、やっぱり読んでみないと分からないですね。満足!!