君のための物語

今月の新人さんその3。第14回電撃小説大賞・金賞受賞作。
物書きを目指す青年が、ふとした事で知り合った不思議な青年・レーイとの奇妙な友情物語です。
これは凄く面白かった。今回の小説大賞の中で1番好きかも。
不思議な力を持つレーイの過去に、段々と触れつつ進む連作短編風味な1冊。主人公は一般人だけど、レーイの力を特別視せず、普通に付き合いを深めていきます。いつも唐突に現れるレーイを最初は微妙に迷惑がりつつも、徐々に友人として認めていく展開が良かったです。全体に流れる、淡々した静かな雰囲気も素晴らしい。
どの話も良かったんですが、1番気に入ったのは2つ目のおばあさんの話でしょうか。どれだけ時間が流れても、風化しない想いと言うのは良いですね。読んでる方も無性に嬉しくなります。
と言う訳で、普通に気に入った作品でした。続編があるかどうかは分からないけど、今後に期待。
...しかし良いなー、「ぬはぁ!」って。暫く口癖になりそう。